
人間の目は、暗闇に慣れるための「暗順応」という能力を持っています。潜水艦で赤色照明が使われるのには、この能力を最大限に活かすための科学的な理由があるのです。
潜水艦で赤色照明が使われる科学的理由
暗順応の維持
私たちの目には、暗い場所で光を感じ取る「桿体細胞」と、明るい場所で色を認識する「錐体細胞」という2種類の視細胞があります。赤色光は、暗闇での視力を司る桿体細胞をほとんど刺激しません。そのため、潜水艦内で赤色照明を使用することで、暗闇に目が慣れた状態、つまり「暗順応状態」を維持することができるのです。
これにより、潜望鏡を覗く際や、緊急時に艦外の暗闇を確認する際に、目がすぐに状況に対応できるようになります。
実際の運用
潜水艦では、夜間や戦闘時など、状況に応じて赤色照明に切り替えることがあります。この手法は、特に第二次世界大戦時から広く採用されてきました。現代の潜水艦でも、必要に応じて赤色照明が使用されています。
「覚醒抑制効果」について:誤解を解く
赤色光には、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を強く抑制しにくいという特性があります。これは、多くの人が寝る前にスマートフォンなどで浴びる青色光とは対照的です。
したがって、「覚醒抑制効果」というよりも、「覚醒を促進しない」、つまり「自然な眠気を妨げない」という表現がより正確です。
まとめ
潜水艦で赤色照明が使われているのは事実であり、その主な目的は暗順応の維持です。一方で、「覚醒抑制効果」という表現は不正確で、正しくは「覚醒促進効果が少ない」と言えます。
潜水艦での赤色照明の使用は、主に視覚的な実用性のための選択であり、副次的に睡眠リズムへの影響が少ないという利点もある、というのが正確な理解です。